近年はAI技術が急速に発展し、さまざまな分野で活用されていますね。
語学の世界でもDeepLをはじめ、数多くの翻訳ツールが開発されています。
「もう英語を勉強する必要ないんじゃない?」
という意見が出てくるのは自然なことだと思います。
そこでこの記事では、英語学習者として避けては通れない
AI技術が発達するなか、英語を始めとする外国語をわざわざ勉強する意味があるのか?
という疑問について考えます。
先日、ChatGPTというAIチャットサービスが公開されて世界が衝撃を受けました。
この記事を書いた2020年から約3年。
AI技術がものすごい進化を遂げています。
とはいえ、ChatGPTの登場によって下記の考えが変わったわけではありません。
AIがどんなに発達しても英語学習の意味は失われない。
人間同士のコミュニケーションをAIが代替することは不可能だからです。
ちなみに…ChatGPTに質問してみました。
「ChatGPTの登場で英語学習は不要になりますか?」
答えは以下です。
ChatGPTの登場により、英語学習が不要になるわけではありません。
ChatGPTは、自然言語処理に基づいたAIであり、英語学習においては、英語の文章を読み取って翻訳したり、会話を生成することができます。
しかし、ChatGPTはまだ人間の英語能力に完全に匹敵することはできておらず、英語学習においては、ChatGPTを補助的なツールとして活用することができますが、基本的な英語の文法や単語、発音などを学ぶ必要があります。
また、英語を使ってコミュニケーションする場合には、ChatGPTだけでは不十分であり、自分自身で英語を話す・書くことが求められます。
…もうこの記事いらないかも。w
「AI時代だから英語の勉強は不要」?
英語を学んでいるあなたを見て、
「これから自動翻訳機がもっと進化するから、英語を勉強しても意味ないのでは」
「それより他のスキルを身につけたほうがいいよ」
と言う人もいるかもしれません。
しかし、英語学習の意味が失われる日は来ないと私は考えています。
それどころか、今後さらに英語学習の必要性は高まるはず。
理由はこの3つです。
- AI技術には限界がある
- 世界中で急速に進むオンライン化
- 外国語を学ぶことは自己成長に繋がる
AI技術には限界がある
「今後、どんどんAI技術が発展して人間から仕事を奪っていく」という話をあちこちで聞きますよね。
たしかに、AIに代替される職業もあると思います。
ただ、AIにも弱点があると言われており、それが「読解力」です。
なぜならAIはコンピュータ(計算機)にすぎず、言葉を理解できないから。
意外かもしれませんが、実は通訳・翻訳はAIによって代替されやすい職業とは捉えられていないんです。
オックスフォード大学の論文がコンピューター化(Computerisable)される可能性が高い仕事ランキングを示しています。
THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOWSUSCEPTIBLE ARE JOBS TOCOMPUTERISATION?
Carl Benedikt Frey/Michael A. Osborne(2013)
これによると、通訳・翻訳は全702職種のうち265位。
※下位に行くほどコンピュータに代替される可能性が高い
しかも誰もが文法的に正しい文章を書くわけではないので、翻訳には原文の意味を推測する作業が不可欠です。
これはAIの弱点である読解力が必要な作業。
AIが人間と同レベルの翻訳を行うことは無理では?というのが現時点での印象です。
ちなみに数学者の新井紀子氏によれば、シンギュラリティ(AIが人類の知能を超える転換点)は来ないとされています。
「AIが人間の仕事を奪う!」とやたら怖がらせる風潮もありますが、こちらの本を読むと「なるほど、AIってこういうものなのね」と冷静に未来を考えられるようになります。
読み物としてもおもしろいので、ぜひ一度は読んでおかれることをお勧めします。
世界中で急速に進むオンライン化
2019年末に発生した新型コロナウイルスによって世界は一変しました。
その中でも最も大きな変化のひとつが、人の往来が激減したことではないでしょうか。
各国政府が入国制限を実施し、世界的に旅行や出張を控える動きが強まりました。
この状況を見る限り、人の物理的な移動(特に国境を超える移動)が元どおりになるとは思えません。
となると、今後ますますオンラインで海外の人々と仕事をする機会が増えると考えるのが自然です。
実際、コロナをきっかけにZoomなどのウェブ会議システムが急速に広まりましたよね。
オンライン化が急ピッチで進み、「国境」が消えつつあります。
さらに、日本ではこのまま人口が減り続ける見通しなので、企業は今後ますます海外への事業拡大を進めていくと予想されます。
これまでは一部の部署しか英語が必要ではありませんでした。
しかし、今後は英語でのコミュニケーションが必要な業務の範囲が広がり、ほとんどの社員に英語力を求める会社が増えていくのではないかと私は考えています。
海外取引先とのウェブ会議は今後どんどん増えていくでしょう。
そんな中、いつも翻訳機を使ってコミュニケーションを取るのはかなり厳しいですよね。
画面越しだとただでさえ意思疎通が難しくなるのに、翻訳機を介して話をするのはハードルが高い。
そもそも、翻訳機を介していては会議に倍の時間がかかってしまいます。
英語ができないことが今以上に日本の競争力に悪影響を及ぼすかもしれません。
そう考えると、近い将来に備えて今のうちに英語を勉強しておいたほうがよいはずです。
むしろ英語力がないことを理由に失業する時代もありえると個人的には思っています。
外国語を学ぶことは自己成長に繋がる
ここまでは実利的なお話をしてきましたが、私が思う英語学習の1番のメリットは自己成長です。
もちろん、仕事で国際的に活躍したり、昇進・昇給を受けたりするために英語は役に立ちます。
先ほど書いたとおり、英語が必要な職場は今後どんどん増えていくでしょう。
近い将来、英語力は「あったら便利」ではなく「ないと困る」という時代になると確信しています。
でもそれとは別に、英語学習を通じて得られる副産物もたくさんあるんです。
・論理的思考力
・抽象的思考力
・異文化理解力
・共感力
・想像力
・言語化力
・独学力
・自己管理力
・情報収集力
・職業選択の幅
・居住地選択の幅
・プライドを捨てる勇気
・尊敬できる人との出会い
・成長できる喜び
・自信
自分がどんどん変化していくのが、外国語を学ぶ素晴らしさなんですよね。
例えば英語でエッセイを書く際には<主張→理由→具体例→結論>という型を学びます。
日本の学校教育では通常、ディスカッションやプレゼンテーションに多くの時間を割きません。
たまにそうした機会があっても「相手を説得する技法」を教えてくれる先生はかなり少ないのではないでしょうか。
一方、英語のライティング試験では必ず自分の意見を主張するエッセイが課されるので、論理的な主張を組み立てるトレーニングが積めます。
また、英語を使いこなせるようになるには日本語を介さずにイメージで捉える必要があります。
例えば自分の部屋で勉強中にお母さんから「夕飯できたよ!」と呼ばれた場合。
「今行くよ!」は、I’m going!ではなく、I’m coming!となります。
「come=来る、go=行く」と覚えていると間違えますよね。
「come=相手に近づくイメージ、go=相手から遠ざかるイメージ」と捉える必要があります。
こうして言語を感覚的に捉えるトレーニングを積むことで、抽象的思考力も鍛えられます。
このように、英語を学ぶことで「英語力」以外の能力も向上していくわけです。
外国語を学ぶことは、言語的に赤ちゃんに戻ることでもあります。
相手が何を言ってるかわからない、言いたいことが口から出てこない、会話に入れないなど、時には泣きたくなるほど惨めな気持ちになるかもしれません。
私も20歳のときに初めての海外でそういう経験をしました。
でも、これを乗り越えようと努力する過程で人間として一回り大きくなれるはずです。
自分の殻を破って相手に心を開いたり、わからないことを認めて謙虚に学んだり…
日本語だけで生活していては決して得られない経験ができます。
そうして手に入れた成長は、別の新しいことに挑戦するときに自信となって支えてくれるでしょう。
英語学習で得られるものは、英語力だけではない。
なにより、機械に任せるのではなく自分自身の言葉で意見や気持ちを伝え合う方が人生を豊かにするのではないかと私は思います。
おわりに
今回はAI時代における英語学習の意義について考えました。
- AI技術には限界がある
- 世界中で急速に進むオンライン化
- 外国語を学ぶことは自己成長に繋がる
AI技術がどんなに発達しても、英語学習の意義がなくなることはありません。
時代に乗り遅れないために、英語はこれまで以上に必須スキルになると思います。
英語を学んでいる方は引き続きコツコツ積み上げていきましょう。