こんにちは、えまです。
先日、自民党内で菅総理の英文ツイートの「レベルが低すぎる」という苦言があがったというニュースを読みました。
菅義偉首相がトランプ米大統領夫妻の新型コロナウイルス感染を受け、ツイッターに投稿したお見舞いメッセージに対し、7日の自民党外交部会で「英文のレベルが低すぎる」と苦言が相次いだ。
出典:https://this.kiji.is/686502445558203489?c=39550187727945729
そこで今回は、菅首相の英文ツイートを読んだ感想と、トランプ大統領へのお見舞いツイートをした他国の首脳の英文を紹介します!
菅首相の英語力は実際どうなの?
問題となったツイートはこちらです。
Dear President Trump,
I was very worried about you when I read your tweet saying that you and Madam First Lady tested positive for COVID-19. I sincerely pray for your early recovery and hope that you and Madam First Lady will return to normal life soon. https://t.co/KcZHxqzhNg— 菅 義偉 (@sugawitter) October 2, 2020
このツイートには日本語訳もありました。
Dear President Trump,
I was very worried about you when I read your tweet saying that you and Madam First Lady tested positive for COVID-19. I sincerely pray for your early recovery and hope that you and Madam First Lady will return to normal life soon.
親愛なるトランプ大統領へ、
貴大統領とメラニア夫人がコロナに感染したとのツイートを見て心配しましたが、お二人が速やかにコロナを克服し、日常を取り戻すことを祈っています。
わたしがこのツイートを読んだ第一印象は
「え?何がダメなの??(・∀・)」
でした。
苦言を呈されるとはどんなひどい英文なんだろうと身構えていたら、
あまりにも普通の英文で拍子抜けしました。
若干くどい感じもしますが、これといって間違いのない「通じる英語」だと思います。
これだけ英文が書ければ、非ネイティブとしては十分ではないでしょうか。
では具体的にこのツイートのどんな点に苦言が呈されたのか、順番に見ていきましょう。
苦言①:「I was worried」と過去形を使うのはおかしい
ツイート冒頭で”I was very worried about you”と過去形が使われていることに対して
出席議員は「今は心配していない、という意味に受け取られる」と指摘した。
こんな批判があったそうです。
まぁそんな解釈する人はいないでしょうが、たしかにI “was” worried というのはすでにトランプ大統領が回復した時に使うほうが自然かもしれませんね。
ここではI am worried to hear that you and Madam First Lady have tested positive for COVID-19.(貴大統領とメラニア夫人がコロナに感染されたと伺い心配しております。)みたいに書いてもよかったかもと思います。
苦言②:表現が不自然。自動翻訳ではないか?
たしかに自動翻訳でもできそうな英文だとは思いました。
そもそも最近の自動翻訳の精度はかなり上がっているので「自動翻訳=レベルが低い」という時代ではなくなってきていますが。
そこで試しに、Google翻訳に例のツイートの日本語文を入れてみました。
出来上がった英訳がこちらです↓
Dear President Trump,
I was worried when I saw the tweet that you and Mrs. Melania were infected with Corona, but I hope they will quickly overcome Corona and regain their daily lives.
2つの英文を比べてみると、わたしの感覚では
Google翻訳<<菅総理ツイート
です。
Google翻訳も悪くはないし、これでも趣旨は伝わります。
でも「Dear President Trump」と言いつつ「They will quickly overcome…」といきなり他人事になっているのが致命的かなと。
また、単純に文を接続している「が」を逆接の「が」と解釈してbutを使うのは、機械翻訳の典型的なミスですね。
Google翻訳ではなく有料の機械翻訳(DeepLなど)を使っているのかもしれませんが、
いずれにせよ機械翻訳をそのままツイートしたわけではないと思います。
どちらかというと、先に日本語文を考えてからそれを直訳したような感じがします。
苦言③:ちょっとくだけている
これは議員ではなく、外務省の役人の声らしいのですが。
これも「どこが?」と思いました(^^;)
しいて言えば1文目が大統領への手紙というより若干日記っぽい雰囲気ありますが、スラングを使っているわけでもないし誰にでも通じるわかりやすい英語だと思います。
これがくだけてるなら、トランプ大統領のツイートはどうなるのでしょう(´・ω・`)
FEELING GREAT!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) October 6, 2020
後半で紹介する各国首脳のツイートを見ても、使われているのは平易な英語ばかりです。
公文書ではなくツイートですし、批判されるほどひどい英語とは思わなかったですねー。
2文目だけツイートしてればここまで騒がれなかった気もします。
一連の報道を見て思ったこと
一部の日本人は「難しい英語=カッコイイ・洗練されている」という意識があるのかな?と思いました。
でも、英訳をネイティブに校正してもらっている立場から言えるのは、
シンプルでわかりやすい英語が最も歓迎される
ということ。
一文は短く。
難解な単語をむやみに使わない。
わかりやすい簡潔な文構造にする。
これが原則です。
ネイティブの英文メールを読んでいても、そんな「洗練された」「格調高い」英語を連発している人はいません。
中学で習う単語が8割以上じゃないかな?と感じます。
英語はもっと身近で、気軽に使うもの。
カッコイイ英文もたしかにあるけど、
それは教養あるネイティブか、もの凄く努力した非ネイティブしかできないことです。
日本人同士でハードルを上げ続け、英語を使いづらい雰囲気になるのはもったいないのではないでしょうか?
中学英語でまったく問題ないという認識が、もっと広まってほしいですね。
ここまで書いてきてアレですが、、菅総理のTwitterアカウントのプロフィール欄に「事務所スタッフが運営しています」とあるので、あのツイートは総理ご自身が書いたものではないと思います。
菅総理が英語を話している動画がないか探しましたが見当たらず、
ご経歴を見ても特に英語にまつわる話題はなかったので、実際の英語力は未知数といえそうです。
各国首脳のトランプ大統領お見舞いツイート集
他の国のトップは、どんなお見舞いツイートをしていたのか気になったので、調べてみました!
みなさん、使う表現が似ていますね。
とても勉強になるので、ぜひみなさんも読んでみてください。
英国のジョンソン首相
My best wishes to President Trump and the First Lady. Hope they both have a speedy recovery from coronavirus.
— Boris Johnson (@BorisJohnson) October 2, 2020
My best wishes to President Trump and the First Lady. Hope they both have a speedy recovery from coronavirus.
2文目はHopeの前の主語(“I”)が省略されていますね。
会話はもちろん、SNSなどカジュアルな場面では英語も主語が省略されることが多いようです。
カナダのトルドー首相
Sophie and I are sending our best wishes to @POTUS Trump and @FLOTUS. We hope you both get well soon and have a full recovery from this virus.
— Justin Trudeau (@JustinTrudeau) October 2, 2020
Sophie and I are sending our best wishes to @POTUS Trump and @FLOTUS. We hope you both get well soon and have a full recovery from this virus.
Sophieさんとは、もちろん奥様のこと。
ここに奥様のお名前を出すあたりもイケメンですね〜素敵!
オーストリアのクルツ首相
I wish a full & swift recovery to @realdonaldtrump & @FLOTUS. #COVID19 is a worldwide pandemic which we all need to fight together.
— Sebastian Kurz (@sebastiankurz) October 2, 2020
I wish a full & swift recovery to @realdonaldtrump & @FLOTUS.
#COVID19 is a worldwide pandemic which we all need to fight together.
お気づきの方もいると思いますが、メンションされているトランプ大統領のアカウントが先ほどと違います。
「@realdonaldtrump」は大統領就任前から使用している個人アカウント、
「@POTUS」はオバマ前大統領から引き継いだ米大統領としてのアカウントです。
POTUS = President of the United States (アメリカ大統領)
FLOTUS = First Lady of the United States (アメリカ大統領夫人)
どちらもアメリカの政界用語です。なんかカッコイイ。
インドのモディ首相
Wishing my friend @POTUS @realDonaldTrump and @FLOTUS a quick recovery and good health. https://t.co/f3AOOHLpaQ
— Narendra Modi (@narendramodi) October 2, 2020
Wishing my friend @POTUS @realDonaldTrump and @FLOTUS a quick recovery and good health.
両アカウントにメンションしているあたり、仲の良さが伺えますね。
一方でお見舞いツイートをしていない首相もいますし、こういうところから日頃の関係も伝わってきて面白いです。
台湾の蔡総統
On behalf of the government & the people of Taiwan, wishing @POTUS & @FLOTUS a swift recovery. Yes, we will get through this together. https://t.co/GtDvi3HflH
— 蔡英文 Tsai Ing-wen (@iingwen) October 2, 2020
On behalf of the government & the people of Taiwan, wishing @POTUS & @FLOTUS
a swift recovery. Yes, we will get through this together.
トランプ氏のツイートに「Yes」と答えているところがフレンドリー。
この方の英語にはとても憧れます😊
台湾はコロナ対策も賞賛されていましたね。
おわりに
今回は菅総理のお見舞いツイート騒動について感想を書いてみました。
「日本人は日本人の英語に厳しい」とあらためて感じましたね。。
自然で洗練された英語が理想ではありますが、外国人にはハードル高いです。
菅総理の場合は一国の首相としてどうしても厳しい視線が向けられがちかもしれませんが、
少なくとも一般人レベルでは、こういう揚げ足取りはもうナシにしたいものです。
間違うことを恐れず、楽しく英語を使っていきましょう👍